治療適応外の疾患・状態、禁忌症

治療適応外の疾患・状態について

１）外傷：骨折、脱臼、筋断裂、靭帯損傷などがあるとき。

２）骨粗鬆症：軽微な外力でも骨折につながるような重症のもの。

３）癌の骨移転：施術操作に伴う病的骨折の危険がある。部位が一定で夜間痛と増悪傾向をもつ痛みの場合は医療機関での精査をおすすめ致します。

４）炎症性疾患：関節リウマチなどの慢性炎症性疾患。

５）椎間板ヘルニア：重度の椎間板ヘルニアでは髄核脱出を増悪させる可能性あり。

６）超高齢者：体力の低下した超高齢者では筋など軟部組織と骨が脆弱となっており、施術操作が障害を引き起こす危険がある。

カイロプラクティックにおける禁忌症

原因別にみた禁忌症／疾患の原因によって分類。

○腫瘍性疾患：悪性腫瘍全般、良性でも脳腫瘍、中枢性疾患など

○血管障害に伴う疾患：くも膜下出血、脳・脳幹・小脳出血および梗塞、脳動静脈瘤、心筋梗塞、狭心症、眼底出血など

○血液疾患：白血病、血小板減少症、血友病など出血素因のあるもの

○急性炎症性疾患：髄膜炎、急性肝炎、急性膵炎、腹膜炎、虫垂炎など

○外傷性疾患：頭部打撲、骨折全般、裂傷、挫傷、熱傷など

○感染症：赤痢、コレラ、ジフテリア、日本脳炎、結核、インフルエンザ、肺炎、破傷風など

○中毒症：ガス、重金属、食品、有機溶剤、農薬、薬など

自覚症状からみる禁忌症

○頭痛による禁忌症：
頭痛の中でも９０％以上は良性といわれていますが、頭痛を伴う疾患の中には脳腫瘍、くも膜下出血、脳動脈瘤、動静脈奇形、脳血栓（通常、痛みは無いが椎骨脳底動脈は痛みがある）、慢性硬膜下血腫、三叉神経痛、筋収縮性・緊張性頭痛、後頭神経痛、脳脊髄炎、ウィルス血症、眼科緑内障、眼精疲労、三叉神経帯状ヘルペス、歯髄炎などからの二次性頭痛があります。
頭蓋内疾患は禁忌症であり、頭蓋外疾患にカイロプラクティック適応症が含まれると考えられます。一瞬にして頭全体がガーンと痛む突発ピーク型の頭痛や、頭痛・嘔吐・めまいが三拍子揃うような症状のある方は、専門医の精査をおすすめいたします。
 

○しびれによる禁忌症：
一般的なしびれ症状には、①知覚麻痺（触れた感じが鈍い、または無い）②異常知覚（ジンジン、チクチク、ズキズキ）③運動麻痺があります。
しびれの原因疾患は多種にわかれます。例えば左手にしびれがある症状の場合には、脳血管障害、脳腫瘍、脊髄腫瘍、心疾患、肺がん、中毒、内分泌・代謝性疾患、てんかん、頸椎性、胸郭出血症候群、頸椎サブラクセーション、肘関節あるいは手根管部の絞握性神経障害など治療分野も多岐にわたる症状です。

禁忌症の自覚症状としては、片側半身のしびれ、あるいは片側の頭部・顔面と交叉性に反対側半身のしびれが主です。それらは、脳の血管障害や中枢神経障害が疑われるため、専門医の受診をおすすめいたします。一般的な禁忌症のしびれは、多発性神経障害が多く、カイロプラクティックの適応症は単発性の神経障害であるのとは対照的です。

○めまいによる禁忌症：
回転性めまい（景色や自分がグルグル回ると感じる）
　浮動感（自分が浮いたように感じる、ふらふらする）
　動揺感（何となく揺れているように感じる）
　　　＊中枢神経障害または末梢神経障害の疑い。

ふらつき（立ち上がった瞬間に血圧が下がり一瞬、クラっと気が遠くなる感じ）

立ちくらみ（眼前暗黒感が出現する）に分類。
　　　＊脳の虚血発作であり、特に老人の場合は梗塞による椎骨脳底動脈不全症が疑われる現象。若年者では、自律神経失調症による起立性低血圧が原因している場合が多い。

頭痛を伴うめまいや偏頭痛性めまい
　　　疲労、寝不足、飲酒、心労ストレスによる誘引がある。

頭痛・嘔吐・めまいの三拍子揃うものや一定の頭の位置でめまいが発症するなどは頭蓋内の梗塞や出血が疑われるので、専門医の受診をおすすめいたします。